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過去のコレクション展
瀧口修造コレクションⅣ
2024年2月8日(木)~4月23日(火)
富山県出身の詩人、美術評論家として知られる瀧口修造(1903-1979)は、造形作家としても知られています。
瀧口は、1958 年にヴェネツィア・ビエンナーレの日本代表・審査員として渡欧し、ヴェネツィアでの公務のあと約 4 か月にわたりパリを中心に欧州各国を巡り、サルバドール・ダリやアンドレ・ブルトン、アンリ・ミショーらを訪ね、面会を果たしました。帰国後は、次第に「ジャーナリスティックな評論を書くことに障害を覚え始め」、美術評論と距離をおき、執筆は友人らに宛てた詩や文章が多くを占めるようになります。そして、その頃から創作に力を注ぎ制作に没頭し、やがて評論家としては異例となる個展を開き作品を発表していきます。1960 年、南天子画廊で開催された個展のリーフレットには、
「数ヵ月前に一冊のスケッチ・ブックを買ってきたのが始まりでした。私は万年筆で線をひきました。そして原稿用紙の文字ではない何ものかをそこに求めました。それは、書いているのか、描いているのかわかりません。その不分明のところが私には問題なのですが。」
とあります。
瀧口は、戦前から造形活動を実践していましたが、それは瀧口のあらゆる活動の根底にある「実験精神」からくるものと思われます。そして、それらの多くは自身の文章や翻訳で紹介した作家たちが生み出し提唱した技法を、自らも体験し創作するという形で行われました。
シュルレアリスムの代表的な技法のひとつで、オスカル・ドミンゲスにより提唱された転写法の「デカルコマニー」。マルセル・デュシャンの《回転ガラス板》や《ロトレリーフ》に触発され、それを応用した「ロトデッサン」。ジャン・フォートリエやジョルジュ・マチューらアンフォルメル作家たちのドローイングを想起させる水彩画。そしてとりわけ、1958 年に瀧口が渡欧した際に訪ねたアンリ・ミショーの、文字や記号にも絵にも見える「ムーヴマン」や無意識に線を走らせたドローイングを実践、応用したような作品などを短期間に多数制作しています。
このたびの展示では、瀧口の造形に注目して、書くだけの評論家ではなく、実践者、実験者としての一面を感じていただければ幸いです。
展覧会情報
会期 | 2024年2月8日(木)~4月23日(火) |
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開館時間 | 9:30〜18:00(入館は17:30まで) |
休館日 | 毎週水曜日(3月20日は開館)、2月13日(火)、3月21日(木) |
観覧料 |
一般:300円(240円)
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場所 | 富山県美術館3階 展示室6 |
主催 | 富山県美術館 |