ポスター・コレクションから、今回は様々な顔と身体が登場するポスターを紹介します。

グラフィックデザインの幅広い領域のなかでも、書籍やパッケージといった掌に収まるものと比べたとき、壁に貼られるポスターは、私たちの身体に近いサイズの媒体であるといえるでしょう。ポスターに大きく登場する様々な顔は、真正面から私たちを見据えるかのように、身体はその躍動感や存在感をもって私たちに語りかけてくるようです。 顔を単純化することによって表情がより強く伝わる、田中一光《銀座セゾン劇場》や田代卓のポスター、ポーランドを中心としたイラストレーションによる様々な顔の解釈や表現にも注目してみましょう。また、松永真の《PEACE》のように、躍動感のある身体と鮮やかな色彩に平和と自由のメッセージを託した表現などを見るとき、顔や身体そのものが、言葉を超えて何かを伝える大きな力をもっていることに気づかされます。顔と身体が、ポスターの上でみせる多様な表現や解釈を楽しんでいただければ幸いです。