活動報告
TAD学芸員による友の会会員のためのギャラリートーク 「三沢厚彦 ANIMALS IN TOYAMA(12月22日)」
2019/01/21
12月22日(土)、学芸員による企画展「三沢厚彦 ANIMALS IN TOYAMA」のギャラリートークが開かれました。クリスマスコンサートの前ということもあり、2、30人の観覧者が集まりました。
展示室にはいると真っ先に目に入るのは、一見がらくたのような寄せ集め。よく見ると、おもちゃ、たばこ、お菓子の箱など、いろいろなものが使われています。三沢氏が茅ヶ崎に在住時代、海辺の漂流物に着想を得て作った、部分と全体を考察していた時期の作品で、皆さん興味深そうでした。
棚の作品群は、三沢氏が好きな作家であるヨーゼフ・ボイスやフランシス・ベーコンをモデルにした人体像や動物です。自らの制作スタイルを追求するうえで、先ずは好きな作家と向き合ってみようと考えて、着手。完成後に、棚に飾ってみたそうです。
等身大の動物が並ぶ展示室は、作品を空間も含めて鑑賞してもらいたいという三沢氏の考えを反映し、作品の周りにはロープや解説版を置かず、動物の配置にも自然界の生態などを反映するよう気が配られています。どの動物も、対象をよく観察したうえでいちど考えを白紙化し、再構築した独自のイメージになっているということです。
樟(くすのき)は、材質が固く彫りにくいため、大型のキリンなどは、制作に三年かかりました。また一見寄木造りに見えますが、なるべく一本の木から彫りたく、子供に大人気の長いワニでも、しっぽのほうに結合された部分があるのだそうです。
順路最後の展示は、「アニマルハウス・イン・トヤマ」という新作です。三沢氏が、親交の深い舟越桂(彫刻)、小林正人(画家)、杉戸洋(画家)、浅田政志(写真家)各氏とともに、立山連峰を望むこの美術館ならではの作品を制作・展示したいという希望で制作されたものです。それぞれのアーティストが才能をぶつけ合い、子供の気持ちに帰って楽しみながら作られた様子が伝わってきます。
作品にも担当学芸員の熱の入ったトークにも魅了されたひと時でした。
(TADフレンドシップ【富山県美友の会】事務局員:西邨智子)