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富山県美術館開館5周年記念 ミロ展―日本を夢みて
2022年7月16日(土)~9月4日(日)
スペインのバルセロナで生まれた芸術家、ジュアン・ミロ(1893-1983)。20世紀を代表する巨匠としてその名は日本でも広く紹介されていますが、ミロが若い頃から日本に憧れ、日本文化に造詣が深かったことはあまり知られていません。一方日本でも、ミロの作品は1930年代から紹介され、1940年には単行書が世界に先駆けて刊行されるなど、早い時期から人々に親しまれてきました。また、ミロは1966年の初来日以来、富山県出身の詩人・美術評論家の瀧口修造と親交を深め、ふたりによる共作も手がけています。
本展は、ミロと日本の関係に注目した初となる展覧会です。スペイン、ニューヨーク、日本各地から集結するミロ作品、そしてアトリエに残された日本の民芸品や多彩な関連資料等を通じて、ミロ芸術と日本文化の意外なほどに深いつながりをご紹介します。
展覧会情報
会期 | 2022年7月16日(土)~9月4日(日) |
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開館時間 | 9:30〜18:00(入館は17:30まで) |
休館日 | 毎週水曜日、7月19日(火) |
観覧料 |
一般:1,100円(850円)、大学生:550円(420円)、一般前売:850円
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場所 | 富山県美術館2階 展示室2、3、4 |
主催 | 富山県美術館、北陸中日新聞、北日本新聞社、富山テレビ放送 ▼協賛:ライブアートブックス ▼協力:ヤマト運輸 ▼後援:スペイン大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京 ▼出品協力:ピラール&ジュアン・ミロ財団、マジョルカ |
作品
ジュアン・ミロ 《絵画(パイプを吸う男)》1925年 富山県美術館 ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
薄い青や褐色を背景に、細い線で描いた〈夢の絵画〉シリーズの1点。当館の前身である富山県立近代美術館の開館にあたり購入された、記念すべき西洋美術のコレクション第1号。
ジュアン・ミロ 《アンリク・クリストフル・リカルの肖像》1917年 ニューヨーク近代美術館 ©The Museum of Modern Art, New York. Florene May Schoenborn Bequest, 1996/Licensed by Art Resource, NY ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
美術学校時代に出会った親友リカルの肖像画に、実際の浮世絵を直接画面に貼っている。ミロの日本への興味をうかがわせる、若き日の作品。
ジュアン・ミロ 《絵画(カタツムリ、女、花、星)》1934年 国立ソフィア王妃芸術センター Photographic Archives Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
ミロの代表作となるマドリードの傑作が、56年ぶりの来日。絵画と文字による独自の表現が特色で、絵の中には、題名にある「カタツムリ、女、花、星」の4つのフランス語が隠れている。
ジュアン・ミロ 《シウラナ村》1917年 吉野石膏コレクション(山形美術館寄託) ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
1917年夏のシウラナ滞在中に描かれた作品。道や斜面をジグザグやうねるような黒い線で分割し、幾重にも折り重ねるかのように鮮やかな絵の具で塗り分ける表現が特徴。
ジュアン・ミロ 《花と蝶》1922-23年 横浜美術館 ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
葉脈の一本一本に至るまで緻密に描いた、写実的な描写の最後の数点の一つ。赤いハイビスカスの花に向かって羽ばたく蝶の様子は、当時ミロの周辺で紹介されていた俳句「落下枝に帰ると見れば胡蝶かな」を思わせる。
ジュアン・ミロ 《焼けた森の中の人物たちによる構成》1931年 ジュアン・ミロ財団、バルセロナ ©Fundació Joan Miró, Barcelona ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
1932年に日本で初めて実際に展示されたミロ作品の一つが再来日。当時図版を介してのみ作品に触れて来た日本の鑑賞者たちに、本作は鮮烈な印象を与えたことだろう。
ジュゼップ・リュレンス・イ・アルティガス、ジュアン・ミロ 《花瓶》1946年 個人蔵 ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
バルセロナの美術学校時代からの親友で、日本文化に造詣が深い陶芸家、アルティガスとの共同制作。ミロが人物像を絵付けしている。ミロは日本の焼き物の虜になり、初来日の際にはいくつかの窯元も訪れている。
ジュアン・ミロ 《絵画》1966年 ピラール&ジュアン・ミロ財団、マジョルカ Fundació Pilar i Joan Miró a Mallorca Photographic Archive ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
1966年の初来日からパリに戻ったのち、ひと月のうちに描かれた。「日本の書家たちの仕事に夢中になった」というミロが得た、書家たちからの刺激が見て取れるような作品。
ジュアン・ミロ 《マキモノ》1956年 町田市立国際版画美術館 ©Successió Miró/ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022 E4304
全長8メートルを超える巻物状の作品。1966年のミロ展の折、当初出品リストになかった本作をミロがわざわざ追加したとの逸話が残る。