友の会TAD Friendship

活動報告

会報プリズム Vol.80より(2016年8月31日 発行)富山近美友の会、高志の国文学館友の会 共催事業 「堀田善衛とゴヤ」雪山館長の講演会と会員のつどい

2016/08/31

「堀田善衛とゴヤ」雪山館長の講演会と会員のつどい
 雪山館長と堀田善衛は共に富山で生まれ、ゴヤの研究という共通の業績がおありなので当日はお話を伺うのを楽しみに高志の国文学館に向かいました。
 大画面に映し出される「戦争の惨禍」などの版画からは、虐げられた人々の叫び声が聞こえる様で目をふさぎたくなります。堀田も戦争をテーマに人間の醜さ暗さを真正面から見つめた作品を多く書いていますが特に「ゴヤ」は長編で難解、途中とうとう投げ出してしまったこと思い出します。館長の解説を伺いながら、今なお戦火に苦しむ人々がある事に、ゴヤや堀田なら何を思いどう作品に表すのか知りたくなります。
 また館長は、当時世間を騒がせていた東京オリンピックのエンブレム問題にもふれ、デザインの独自性とは何かを、専門家ならではの視点でお話しくださり、会場は興味津々大いに盛りあがりました。ゴヤの作品の中にも引用があり、日本には古来より文学の世界には本歌取りという手法があるとも。なるほどと新鮮な驚きで聞き入りました。
 つどいは、高志の国文学館友の会会長のご挨拶に続き、香り高い飲みものとクッキーをいただきながら和やかな雰囲気の中、進みました。文学館友の会の皆様から雪山館長に質問が寄せられ、館長のユーモアを交えた回答に会場は笑いに包まれました。美術にまつわるクイズも出され、正解された方々には、雪山館長のサイン入り著書が贈呈されました。近代美術館、高志の国文学館の交流が益々発展していく様にとの中西館長のご挨拶で、会は終了しました。
 これからも美術と文学、共に一層の関心の輪を広げていけたらとの思いの深まる一日でした。
(特別会員 成田みつる)