友の会TAD Friendship

活動報告

TAD学芸員による友の会会員のためのギャラリートーク 「日本の美 美術×デザイン ―琳派、浮世絵版画から現代へ―」(9月6日 9月29日)

2019/10/16

恒例の学芸員による友の会会員のためのギャラリートークが「日本の美 美術×デザイン ―琳派、浮世絵版画から現代へ―」展を担当した八木学芸員により行われた。
毎週土曜日の11:00~のギャラリートークに加え、友の会会員向けに特別に開いていただいたもの。21日からの展示替えに合わせて2回の開催である6日の金曜日はともかく、29日は日曜日とあって16:00~のトークには友の会会員の参加者は多くはなかったが、会員以外の方も八木学芸員の熱のこもったトークに足を止め、耳を傾けてくださった。
作家や作品、制作の時代背景、当時の技術、文化的な背景など、漠然と展示を見ているだけでは気が付かなかった作品の奥深さを教わり、この作品をここに展示する意義に納得、知的好奇心が刺激を受ける。浮世絵版画のコーナーでは本来の照明より明るくしたうえ、版と刷り方がより鮮明に見えるようにライトで照らしてくださるなど、八木学芸員のサービス精神あふれる心遣いに、楽しくお得感いっぱいに鑑賞できた。版画は彫師と刷師のコラボでつくられた傑作であり、大胆なデザインは現代にもつながっていることが分かる。
近現代の展示コーナーでは、山本太郎「マリオ&ルイージ図屏風」はまさに現代の「風神雷神図」として圧巻、福井江太郎の図を大胆にあしらった「駝鳥紋訪問着」にため息が。日本美術とデザインがどうつながるのか、一人で見ていては展示のテーマを理解するのが難しかったが、展示室の各コーナーで説明を聞き、作品をじっくり鑑賞でき「ふう~ん、なるほど」と、ちょっぴり分かったような感じがして嬉しかった。デザインとは意匠のこと。江戸期の意匠を凝らした作品群が現代のデザインへとつながる流れが読み取れる展示である。日本美術という大河の一端に触れることができ、充実した時間であった。
(富山県美友の会事務局 安藤美根子)